GWを過ぎたばかりの信州・奥裾花自然園は、観光客も少なく独り占めの贅沢な場所でした。
まだ桜が咲いていたり、雪の塊が残っていたりと遅い春がここにはありました。
最後に訪れてから何十年も経過しているので記憶は役にたたず、履いていた長靴はただ歩きにくいだけのものでした。
ここ鬼無里と言えば「いろは堂」。知らない人がいないほど信州を代表する「おやき」の老舗です。
昔、鬼無里を訪れたとき、おやきの暖簾がかかっている間口一間ほどの民家に入りました。
そこで、わずかに残ったおやきを提供してくれたこの家の青年は、今後、長野の百貨店に店舗を構え、『行く行くは「おやき」を広く世の中に広めたい』、と、見ず知らずの私達夫婦に大きな夢を熱く語ってくれました。
当時の店舗は現在駐車場になっているのではないかと思えました。大きな野望と希望を確実に達成し、信州の顔として発展を遂げている「おやきのいろは堂」。「いろは堂」さん、大きな夢を叶えたんですね!、と今でもあの時の青年(現在は会長さん?)に届かないエールを送ってしまいます。
今となっては昔々のお話で、もうあの時の青年の顔も思い出せませんが、もし叶うのであればもう一度お会いしてお話を伺いたいと願っています。
「いろは堂のエピソード」と、五月の奥裾花自然園の風をお受け取りください。