築43年の家を長期優良住宅リフォーム(断熱リノベーション)へ
千曲市の断熱リノベーションの現場では、ただ今、山から切り出して来た原木を前に思案しているところです。
真夏の空とはちがい時折爽やかな風が吹き、あんなに暑かった夏も過ぎやっと季節の変わり目を感じています。
〈築43年|改修前のK様邸〉
大工さんは、建物外部に断熱材を慣れた手つきで張っており、もう一方の大工さんは室内で一本の柱と向き合っています。
この柱は、お施主様が生まれ育った大岡村のの木だそうです。
大賀事務所に初めていらした時から、「故郷の木を、家のどこかに使えたら嬉しいです。」と、おっしゃっていたK様。
玄関ポーチの柱に使って欲しいと、お施主様自身が山から選んできた一品ものです。
〈山から切り出したトガの原木〉
切り出してきた木をみんなで眺めながら、木の年齢の話になりました。
「私が物心ついた頃には、既にこれくらい(手で丸く輪をつくる)の太さだったから、もう私より随分と年上だと思いますよ。」
故郷の山でお施主さまと一緒に歳を重ねてきたこのトガ木は、新しく生まれ変わる家の玄関に据えられ、これから毎日家族を出迎えてくれるでしょう。
原木の皮を剥ぎ磨き上げる作業は、お施主様自身の手で思いを込めながら行われました。
最近は製材所で木材を加工するのが一般的ですが、昔は山も良く手入れされており、家を建てる際には近所の大勢の手を借りて切り出し、その材木で家を建てていたようです。これが今で言う「県産材」です。家一軒分とは言わないまでも、床柱などは自分の山から伐り出し、皮を剥ぎ、家族総出で磨き上げ、出来上がった床の間は自慢の一部屋になったようです。
現在では自分の山の木をこのように家の一部分にでも使用すること自体、贅沢で感慨深いものがあります。
乾燥させたトガの丸太に柱脚金物を取り付けるため、柱の中心を出します。一本の木でもきれいな部分とそうでない箇所があるので、どこを表にしたら一番おさまりがいいのか難しいようです。
幼いころの自分を見ていたトガの木。もうじき玄関ポーチにその姿が見られることを心待ちにしておられるご家族です。