大町市にある「栗の木工房・さすほん」
大町市にある「栗の木工房・さすほん」は、
弊社社長の母の弟(叔父にあたります)が初代家具店の店主でした。
すでに母も叔父もおりませんが、叔父の孫夫婦が現在店主をしております。
大町市と長野市ですので最近は疎遠になっておりましたが、
先日久しぶりに訪ねてみました。
[さすほん]には、昔、私の嫁入り家具を父と見に行った懐かしい思い出があります。
その頃は一般的な家具屋でしたが、今は一味も二味もある栗の木に特化した工房です。
店内はすべて栗の木で作られた大きな家具から、小物に至るまで展示してあります。
家具は注文が入ってから職人さんの手で造られますが、この職人さんも身内の方のようです。
一生ものの先、二代三代と手入れをしながら使える家具です。
もともと栗の木はアクが強く固いため、建築資材としては部分的に使用することはあるのですが、
水にぬれたりするとアクが出ることがあり、なかなか難しい材種です。
栗の木の扱いに慣れている「さすほん」でも、今は栗の木でキッチン台は作らないそうです。
成長が遅く大きな材になりにくいため高価でもあります。
私たちが店を訪れたとき、店主が店先でクリーニング後の
栗のお仏壇を返送するために梱包しているところでした。
家具も一旦ばらして汚れやシミを取ると、また蘇り元気を取り戻すそうです。
『栗材は空気を沢山抱えた木なので手触りの良さとぬくもりは格別です』
と店主が話してくれました。
使うほどに艶が増して、それはお金では買えないもの。
使っている人だけにしかわからない時の経過なのかもしれません。
(長く暮らしている家を壊したくない気持ちも同様ですよね)
店内に置いてある二つの椅子の違いは一目瞭然。
この古い方を譲ってください、といいたくなるほどの魅力を醸していますが、
女王様でも経年を待たなければなりませんよ。(笑)
私たちが皆様に無垢材をお勧めするのも、これと一緒です。
弊社社長の父親は大工の棟梁として、多くの仕事の中からお弟子さんを育ててきました。
余計なことは言わず穏やかで、大きな手で木材を加工する寡黙で働き者の義父でした。
後年デイサービスに通うようになっても、
木工作の時間は特別嬉しそうに作業をしていたと聞きました。
お豆腐と日本酒が一日の終わりにあればそれだけで満足してくれた義父と、
同じ自然木をこよなく愛している職人に共通する匂いをこの店で感じることができます。
【 地中熱と自然素材をたくさん使って建てるタイガハウス 】