令和元年東日本台風が正式な名称になった昨年の台風19号ですが、
今年も昨夜からも同じように雨が降り続いています。
2019年10月12日(土)、
数日前からの長雨はなかなか止みません。
特別大雨ということも無くただ降り続ける雨です。
今、千曲川の水門が閉じられたので、
「側溝の水を岡田川に流すよう手配をしました」。と、
長ぐつ姿の区長さんが見回りの途中で、
まだ明かりのついている事務所に立ち寄ってくれました。
区長さんも雨の中ご苦労様です。
社長と二人で玄関先で挨拶をかわし普段通りに見送りました。
この地域では、
佐久、上田方面で大雨が降ると千曲川が増水し、
そのため千曲川に流れ込んでいる岡田川にまで影響してきます。
ですから佐久、上田方面で大雨が降ると
長野市篠ノ井地域では雨量が少なくても、
千曲川の水量に注意をはらいます。
薄暗くなる頃
千曲川の越水が予想されるので避難するように、
の指示がありました。
どこから、
誰から連絡があったのかも今となっては覚えていません。
ただ常会長さんが避難するように、
と連絡に来てくれたのは覚えています。
それでもまだ半信半疑でした。
この間も岡田川への側溝排水モーターは回っていたので、
内心安心はしていました。
いつの間にかそのモーターの音が途絶え、
人の声が無くなり、全てが無音になった
その時始めて感じたことの無い恐怖を感じました。
二階にいた主人は
側溝のグレーチングから次々に噴水のように吹き上げる
下水がこちらにやってくるのをを見た時、
逃げようのない現実を実感したようです。
2階から降りてくるまもなく、
玄関戸の下から這うように水が入ってきました。
そのまま 上がり框を越して床上、
キッチンと徐々に濡らしていきます。
トイレや浴室の排水口を水袋で蓋をしておきましたが、
下から逆流してくる水圧の高さの前では何の効力もありませんでした。
ごぼごぼとあらゆる穴から水が家の中に押し寄せ、
なすすべもありません。
電気が消えました。
しばらくすると1階のアチコチでギギ・・
ブクブク・・と音がしはじめました。
水は短時間のうちに
階段の3段目まで上がり込み、動きを止めました。
停電の中、あちこちの街灯が
水面を照らし不気味なほど明るく、
物音がないのが不思議なほどの 違和感でした。
道路が川と同じ高さの
泥湖水のようであり、
雨も風も無く、道路上に月が見えました。
道路の真ん中にボートのように車が浮いています。
一晩中緊急警報が鳴り響く中、
眠ることなどできるはずもないのですが、
いつものように自分のベッドに
横になれる安堵感に救われる思いでした。
日が登るまで、
幾度も幾度も飛び起きては階段を下りてみるのですが
三角に畳んだレジ袋が一つ 浮かんだまま向きも変えません。
奥の和室の方から
空気の抜けるようなボコボコという音が時々聞こえます。
10月13日昼頃、
水位が下がり始めた岡田川周辺 ここまで、
思い出しながら書いてみたのですが、
長くなりましたのでまた後日このつづきはお伝えしたいと思います。
只この後、多くの方々から言葉では表せない大きなお力を頂き、
やっと今日穏やかな日々を送れるようになりました。
その節は本当に有難うございました。
まだまだ復興途中の方々は落ちつかない日々をお過ごしかと思いますが、
どうか心穏やかな日常が
一日でも早く訪れますよう
心から願っております。
(有)大賀 東方幸子